店舗で接客を受けるような“寄り添う”記事へ。人の介在を感じるヨックモック流の伝え方
「ヨックモック」ーーその名前は、誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。贈り物として、または自分へのご褒美として、購入したことがある方も多いはず。
しかし、株式会社ヨックモック(以下、ヨックモック)ブランディング部のみなさんの中では「ヨックモック=お菓子(クッキー)」というイメージを超えた情報を顧客(世間)に届けたいという想いがありました。そのために始めたのが、noteでの発信だったのです。
2023年8月29日に開催された「note proミートアップ」では、同社ブランディング部の高橋正さんと鈴木彩奈さんがご登壇。noteで多くのファンを惹きつけるヨックモックの想い、運営における心掛け、そして今後の展望について語ってくれました。
ポイントは3つ。
noteでは「人の介在を感じる情報」を発信。商品に関する情報だけでなく、ブランドの歴史、働く人々の想いなど、透明性の高い情報をストックし、読者に親しみをもってもらう。
運営方針として、noteではあえて「無礼講」を意識。部署・社歴・年齢の垣根を超えて社員が自由に意見を出し合いながら、コンテンツを作っている。
noteは公式WebサイトやSNSではできない表現が可能な自由枠。読者に“このブランド、なんだか好きだな”と感じてもらえるように、ヨックモックの素顔を伝えていく。
この記事では、より詳しく運営の裏側をお伝えしていきます。
「人の介在を感じられる情報」を届けたい。だから、noteだった
冒頭でも述べたように「ヨックモックのお菓子」は、多くの方々にとってなじみ深いものですが、その一方で、会社や社員のこと、それぞれのお菓子にまつわるストーリーなどは、まだまだ世間に知られていないのが現状でした。
ヨックモックでは、すでに自社公式サイトなどの発信チャネルは存在します。ですが、これらは頻繁に更新するタイプのチャネルではありません。また他にも、ブランドのエレガントな世界観を伝えるInstagram、フォロワーとのコミュニケーション重視のX(旧Twitter)といったSNSも運用していました。しかし、ヨックモックが求めていたのは、より「中の人が介在している感」のある情報をコンスタントに発信、そしてストックして振り返ることができる場でした。
そこで挑戦したのがnoteです。高橋さんは「noteの読者は、長文を読むことが好きな方が多いという印象があります。お菓子以外の切り口から、ヨックモックの想いや歴史について、興味を持ってくれる方と出会えるのでは」と考えました。
公式サイトやSNSで取り上げられない些細なエピソードを拾い集めて紹介していくこと。そんな小さなエピソードの総体として、読者にヨックモックという人格を感じてもらうことを目指して、ヨックモックのnoteはスタートしました。
noteは無礼講!?“一歩踏み込んだ”社内コミュニケーション活性化の一翼を担う
noteを開設する前に、部署内でワークショップを実施しました。テーマは、“noteでどんなことをやってみたいか”です。既存のメディアでは発信してこなかったトピックも含め、一度制約を取り払ってアイデアを募集。SNS運用やメディア対応の担当者など、社歴・年代問わずさまざまなメンバーが集まりました。
“社外向けの発信”に関してはある程度のガイドラインがありますが、「noteは多少“無礼講”でも受け入れてもらえる部分があるので、一線を少し超えるぐらいのギリギリを狙って、腹を割って議論を交わしました」(高橋さん)といいます。
ワークショップの結果、記事を5つのカテゴリに分けて発信することになりました。
商品紹介
ブランド(会社)の歴史
ヨックモックで働く人/関係者の想いなどを伝えるもの
ノウハウ(お中元のマナーなど)
著名人による寄稿・その他
「1.商品紹介」は定番商品や新商品を紹介し、プレスリリース以上に“担当者の気持ち・熱量”を伝えるものを目指します。「2.ブランド(会社)の歴史」は、一般の読者はもちろん、特に社員にも届けたいカテゴリ。「3.ヨックモックで働く人/関係者の想いなどを伝えるもの」はその名の通り、自社や工場で働く人、また関わってくれるすべての人の想いを伝える場所。「4.ノウハウ」では、レシピやお中元のマナーなど、知っていると役に立つ情報を提供。そして「5.著名人による寄稿・その他」では、開設当初から多くの方々に楽しんでもらえるように、さまざまなジャンルで活躍される著名人からヨックモックにまつわるお話をうかがいます。開設から約半年経った現在も、この時に立てた5つのカテゴリを軸に発信を続けています。
“まるで店舗で接客を受けているような”文章で読者に寄り添う
読者におもしろい・興味深いと思ってもらえる記事を作るには、ネタが必要です。そのため、常に社内の共有情報や新商品・社内プロジェクト情報をキャッチアップできるようにします。また、社史や過去の社内報はネタの宝庫。時間を作って目を通しています。
ネタを持ち寄って記事を執筆をする際、ヨックモックのnoteでは「丁寧語」を使うようにしています。ただ、あまりにも丁寧すぎると、かしこまった印象や無感情な印象を与えてしまいかねません。そうではなく、“あなた(読者)に寄り添っているよ”という印象を持っていただきたい。そこでイメージしたのが実店舗での接客でした。
note上でも実店舗でお客様が受けるような、丁寧な接客体験が必要だと感じたのです。書き手の心の声が見え隠れする記事では、“文章の向こう側に人がいる”と親しみを感じていただくことを目指しています。外部の編集パートナーにも入ってもらい、第三者の視点を通して文章を組み立てていくことで、そのような温度感がより伝わる読み物に仕上げています。
note運営において心掛けているのは、「やりすぎない・無理をしない」こと。欲張って手を広げすぎず、まずは当初定めた5つのカテゴリを充実させてヨックモックの素顔を知ってもらう。基礎がしっかり固まってから、カテゴリを広げるなどの検討をしていきたいそうです。
またnoteでは、オウンドメディア全体のバランスをとるように心掛けています。Instagram、X(旧Twitter)には明確な数値目標はある一方で、コンテンツ重視のメディアとしてnoteを設定しています。
“このブランド、なんだか好きだな”を広めたい
そのようにして作られた記事は、どのような方法で読者に届けているのでしょうか。note開設時や新しい記事の公開時には、全社メールを流してお知らせする以外に、本社や工場にあるモニターでも報告するのがヨックモック流。記事を公開した旨と、その記事にアクセスできるQRコードを掲示しているそうです。同時に、まだnoteの使い方に不慣れな社員もいるので、noteはアカウントがなくても“スキ”が押せることをお知らせ。このような周知を続けることで、「noteを見れば会社の歴史がストックされている」という印象を与えている、といいます。
社外への拡散は、主にX(旧Twitter)で記事をシェア。するとnoteの記事を見た元社員から連絡があったそうです。
この記事では社名の由来をご紹介していますが、元社員がストックホルムを旅行した際に、記事に掲載された創業者の写真と、まったく同じ構図で撮った写真を送ってきてくれたとのこと。ある1枚の写真はホテルのベランダから撮影したもので、どのホテルの何号室から撮ったというところまで突き止めてくれました。退職してもなおヨックモックを見守り続けてくれている人がいるということを、noteを通じて知ることができた、といいます。
また運営を担うお二人にも、noteを開設してから心境の変化がありました。高橋さんは、noteは公式WebサイトやSNSではできない表現ができる自由枠だと感じています。noteを通してヨックモックの本当の姿を出していくことで、“このブランド、なんだか好きだな”と感じてもらえるきっかけになってもらいたい。1つ1つの記事を大切に積み上げて、ブランドのパーソナリティを組み立てていきたいと考えています。
鈴木さんは、noteの担当になり、読んでもらう・想いを伝えるということを意識して文章を書くようになってから、長文を書くことへの興味が深まったといいます。メンバー同士で企画を考え、1本の記事が完成するまで一緒に作り上げていく過程もやりがいがあり楽しいと感じているそうです。
小さく言葉を積み重ねながら、これからのnoteでやりたいこと
開設して約半年、徐々に読者を増やすヨックモックのnote。
これからの発信について高橋さんと鈴木さんにうかがうと、記事の主役を変えていくことで、いずれは全社員にフォーカスを当てたいと話します。自分と距離の近い人が登場する記事は、自然と読みたくなるもの。「社員みんながnoteを読んでいる」という雰囲気を作りたいそうです。また1人1人の社員が持つ小さなエピソードの集合体から、ヨックモックの人格を世間に伝えられればと考えています。
他企業やクリエイターとの共創にも前向きです。まずは各社のnote担当者同士で対談をしたり、ファンの方々の記事をピックアップしたりということから関係を深めていけたらと語ってくれました。
※イベント後日、早速公開されたのが「白岳しろ×ヨックモック」note担当者による座談会の記事。こちらのnoteもぜひご覧ください。
まとめ
noteの役割は、外部の読者に届ける広報チャネルにとどまりません。前述のように、一歩踏み込んだ“無礼講”的な社内コミュニケーションや、会社や社員の歴史を刻んだコンテンツを積み重ねていくことは、社内の財産にもなります。
鈴木さんの「記事の向こうに人が介在していることを感じてほしい」という言葉の通り、親しみやすい店員さんに接客してもらったような、居心地の良さがあるヨックモックのnote。その裏側には、書き手の想いや熱量が込められています。
最後に、ヨックモック流のnote運営で、参考になるポイントを再度振り返ります。
noteでは「人の介在を感じる情報」を発信。商品に関する情報だけでなく、ブランドの歴史、働く人々の想いなど、透明性の高い情報をストックし、読者に親しみをもってもらう。
運営方針として、noteではあえて「無礼講」を意識。部署・社歴・年齢の垣根を超えて社員が自由に意見を出し合いながら、コンテンツを作っている。
noteは公式WebサイトやSNSではできない表現ができる自由枠。読者に“このブランド、なんだか好きだな”と感じてもらえるように、ヨックモックの素顔を伝えていく。
みなさんもぜひ、note運営の参考にしてみてください。
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