誰にでも伝わるIR発信を目指して。投資への関心が高まる今、メンバーズがnoteで取り組むこと
昨今iDeCo(個人型確定拠出年金)の普及やNISA(少額投資非課税制度)の年間投資枠の拡大など、より多くの人々が投資に関心を寄せるようになっています。
このような流れを受けて、noteでは、株主や投資家向けに企業文化、社員の魅力、ビジネスにかける想いなどを伝えるために、IR(インベスター・リレーションズ)情報を発信する企業が増加。中でも株式会社メンバーズ(以下、メンバーズ)は、noteで戦略的なIR発信を行う企業の一社です。
デザイナーやエンジニアなどのデジタルクリエイターが、クライアントのデジタルビジネスの運用を支援するBtoB企業であるメンバーズ。今回はメンバーズIR担当の中島智也さんと井上志音さんに、noteでIR発信を始めた経緯やその効果などについて伺いました。
主なポイントは3つ。
・既存のIRのフォーマットでは伝えきれない情報をnoteで届けることで、自社ファンの投資家を増やす。
・専門的な知識が必要なITかつBtoBビジネスのIR情報だからこそ「自分の両親にも伝わる」レベルまで噛み砕くことが重要。
・コンテンツのカテゴライズや記事の構造など、noteのカスタマイズのしやすさを活かして情報を届ける。
この記事では、より詳しく運営の裏側をお伝えしていきます。
自身の投資経験から、より親しみやすいIRの形を模索
“メンバーズを好きになっていただき、初心者の方でも投資をしたいと思ってもらえるよう、わかりやすい情報発信をnoteでしたいですね”
そう話すのは2022年からnoteでIR情報を発信し始めたメンバーズの井上さんです。実はメンバーズ入社前から、自身も個人投資家デビューをしていたという井上さん。株式投資をするならば、「成長することはもちろんのこと、好きな企業、応援したくなる企業に投資したい」と思うものの、「企業の決算資料や経営分析サイトからは投資判断をする最後の決め手となる情報にはなかなか出会えなかった」と言います。
そうした経験をもとに、IR担当として決算資料では記載しきれない会社の魅力や将来性などを投資家へ伝え、より多くの方に投資を検討してもらいたいと考えていました。会社側もIR関連の発信強化を考えていたこともあり、すぐにIRチームが動き出します。
様々なIRの手法を検討する中で、少人数のIRチームでも大きな業務負担をかけず、数字やデータを用いて構成を柔軟に変えられ、情報発信のタイミングや公開頻度などを調整でき、かつ比較的低コストで継続して活用できると判断し、「Members IR note」を開設しました。
読み手の理解度に応じ情報を整理
実際にメンバーズは、noteでどのような情報を発信しているのでしょうか。基本方針としては、四半期に一度の決算を解説する記事のほか、事業の特徴や目指す姿、今後の戦略、社員紹介など、その時に伝えたい情報を記事として作成し、それらを下記の3つのカテゴリごとのマガジンに分類しています。
「メンバーズを知る」:メンバーズを知ったばかりの方向け。会社として目指す姿やそのための戦略・ビジネスモデルなどを紐解くマガジン。
「メンバーズの“決算”を知る」:決算発表後のQ&Aなどをもとに、現状と中長期的な成長に向けた方針について、紹介するマガジン。
「メンバーズを“もっと”知る」:メンバーズの事業などを既に知っている方向け。個別の戦略にフォーカスした解説や、事業成長の鍵を握る専門領域に特化した社内カンパニーの設立者へのインタビューなどを通じて、メンバーズをより深く知ってもらうためのマガジン。
さらに、初めて「Members IR note」を訪れた方が「どの記事から読めばいいのか」と混乱しないように、全記事をまとめた「もくじ記事」をご用意。マガジンごとに格納された記事を簡単に紹介することで、後から読者になった方にも会社を理解いただけるように、工夫を凝らしています。
1つ1つの記事でも工夫がみられます。例えば、決算を解説するnoteでは、四半期ごとに投資家から決算に関して寄せられる質問とその回答をQ&A形式にして記事を構成。投資家が今回の決算では何に注目しているのかを知ることができ、また、目次を見るだけでどのような質問に回答しているのかわかるようになっており、読者それぞれの関心が高いテーマにすぐ辿り着けるようになっています。
また、テキストが多くなりやすいIR情報ですが、結論を先に述べて読みやすい構成にすることや、決算説明資料のスライドなど記事に関連する図表を適宜配置することで、内容をイメージしながら最後まで読み進めてもらえるよう配慮されているようです。
このようなメンバーズの記事づくりは他社からも注目を浴びており、良いIR記事の例として紹介されることもあります。他社のIR担当者からは「記事構成を真似してみました」といった声も聞こえてくると、お二人は話してくれました。
株主からIR発信への称賛。社内外で生まれた変化
noteを始めたことで社内外からの反響も大きくありました。創業以来、「全員参加型経営」を標榜し、社員の半数以上が従業員持株会へ加入しているメンバーズ。そんな株主でもある社員たちから「あの記事で戦略の理解がさらに深まった」や「こういうIRの記事がほしい」といった声が届いたそうです。
またその反響は社内に留まらず、株主総会では直接株主からnoteでのIR発信が良い取り組みであるとお声をいただいたと言います。なぜメンバーズのIR発信は、社内外から高い評価を得ているのでしょうか?その背景には、情報発信後の振り返りをきちんと行っている点が挙げられます。
1つの記事に対し、一定のPV数と読了率を基準とした数字目標を持っていると話す中島さんと井上さん。読者が関心のあるテーマを発信できているかどうかを判断するための指標として「PV数」を、加えて読者が理解しやすいよう一定の品質を保つための指標として「読了率」を重視。この二つの数字を追うことで、記事のマンネリ化を防いだり、読者層の関心と発信内容にズレがないかを確認しているそうです。
さらに「中の人」である運営メンバーとしても、良い変化があったそうです。noteでIR情報を発信することで、お二人は「(通常のIR発信でも)自社の状況をいかに噛み砕いて、どのようにIRとして出していくのか話し合い、以前より深く考えるきっかけになりました」と、述べます。
自分たちの両親にも伝わる?BtoB企業が抱えるIR発信の難しさ
個人投資家へわかりやすい情報発信を心がけ、大きな成果を生んでいる「Members IR note」。しかし、同時にIR発信の難しさも感じています。
一般的にIR情報は、決算を中心に複雑で理解しづらいと言われます。さらに難題なのが、メンバーズは企業のデジタルビジネスの運用支援を行うBtoB企業であること。デジタルへの知見が少ない人々にとっては、「デジタルビジネスの運用支援」という重要な事業内容もイメージが湧きづらく、その結果メンバーズの成長性を理解するハードルが高くなってしまいます。
この課題に対処するため、専門用語やカタカナ用語をできるだけ避け、可能な限り噛み砕いて説明することに努めています。個人投資家の中には、会社の事業に精通していない方もいるため、IRチームは「ITやBtoBビジネスに詳しくない自分たちの両親にも伝わるのか?」という観点に都度たちかえり、幅広い投資家に伝わる情報発信を心がけているそうです。
ミッション・ビジョンの実現のために、新卒1年目でもカンパニー社長に立候補できるカンパニー社長公募制度や、「ミッション・ビジョン・コアバリュー」をより浸透させ共感度合いを確認し合う全社員参加の社内イベントの実施、社員が率先して行動指針の策定や新しい働き方の提案を行う各種委員会など、ユニークなチャレンジが多いメンバーズ。
これらの取り組みを通じ、全社員が自律し、強いオーナーシップとリーダーシップを発揮している会社であるということを、多くの方に知ってもらえるよう発信していきたいと、前を向きます。
noteで「自社ファンの投資家」を増やし続けたい
そんなメンバーズが今後行っていきたいのが、読者との「双方向のコミュニケーション」です。記事の感想や意見など、現在は積極的にできていない外部からのフィードバックをいかに得て、IR施策に活用できるかを模索しています。この取り組みを強化することで、より投資家が求める記事テーマや発信方法を企画できると言います。
個人投資家は、業績などの数字のみではなく、社会貢献性や経営陣の人柄といった定性的な側面も重視し「投資で企業を応援する」という方も少なくありません。noteでは、従来と同じ決算情報を中心としたIR発信に加え、既存フォーマットでは開示しきれない企業の歴史や事業への想いなど、一般の個人投資家が今まではアクセスしにくかった情報も、わかりやすいUIで発信できます。中島さんは「そういった通常のIRでは開示しきれていない情報を届け、ファンの投資家を増やすことがnoteでIR情報を発信する意義」だと、答えてくれました。
まとめ
ミッション・ビジョンでも掲げられているように、地球温暖化や人口減少、それに伴うデジタル人材の不足といった社会課題に注目し、その解決へ貢献することを目指し事業を行うメンバーズ。このような専門領域について、意義や経済価値をいかに個人投資家に知ってもらい、自分たちが目指す未来に共感してもらうのか。今後もそのための戦略や現在地について、わかりやすく伝えていく「Members IR note」に注目です。
最後にメンバーズのnote運営で参考になるポイントを再度振り返ります。
・既存のIRのフォーマットでは伝えきれない情報をnoteで届けることで、自社ファンの投資家を増やす。
・専門的な知識が必要なITかつBtoBビジネスのIR情報だからこそ「自分の両親にも伝わる」レベルまで噛み砕くことが重要。
・コンテンツのカテゴライズや記事の構造など、noteのカスタマイズのしやすさを活かして情報を届ける。
みなさんもぜひ、note運営の参考にしてみてください。
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