第三者がコンテンツを読む理由を考えることが発信の第一歩
note proを導入し、自社の魅力を発信するツールとして活用している企業にお話を伺うインタビューシリーズ「note pro活用企業が語る 発信はじめの一歩」。note株式会社の大井智之さんをモデレータに、note proを選んだ理由や発信のコツなどをお話しいただきます。
9月13日に開催された第10回目は、一人ひとりに合わせた体験の提供を可能にするCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供する株式会社プレイドの櫻井友希代さんにご登壇いただきました。
常に進化を続けるBtoB企業の「コーポレートブランディング」を実践するなかで、櫻井さんが発信において大切にしていることや、事業を前進させるための発信とは何か? ぜひ参考にしてください。
登壇者プロフィール
櫻井友希代さん
株式会社プレイド 広報
ベンチャーのPR会社勤務を経て、2007年クックパッド株式会社に入社、広報部門の立ち上げに従事。2009年に広報室長に就任。2014年に同社を退職し、株式会社サザビーリーグでの広報経験を経て、2017年より現職である株式会社プレイドにて広報を担当。
note:プレイド公式note「PLAID」
株式会社プレイド
「データによって人の価値を最大化する」ミッションに、顧客中心のサービス体験を提供するSaaS企業。CXプラットフォーム「KARTE」、CX特化型メディア「XD(クロスディー)」、EC特化型メディア「Shopping Tribe」を企画・運営
社員に気軽に書いてもらいたかったから、発信プラットフォームは書きやすさを重視
——noteで情報発信を始めた背景を教えてください。
noteを始める以前からプレイド公式ブログはありましたが、統一されたテーマはなく、さまざまな内容の記事を好きなときに出すという状態でした。そこで、もう少し採用に特化した発信の場所つくりたいと、2018年7月からnoteを始めました。
noteを選んだ理由は書きやすさに魅力を感じたからです。自分で何かを書く、発信するという行為は、結構、頑張らないとできないんですね。私たちは社員自身にも記事を書いてほしかったので、書きやすさがとても大事でした。noteは文章を書きたくなるように考え抜かれた、書き手に向いているサービスだと思いました。
運用の中心メンバーは3名。コンテンツごとに各部署と連携
——運用体制とフローを教えてください。
私を含め広報チーム2名と採用チーム1名の合計3名で運用しています。コンテンツの内容によっては外部の編集プロダクションに依頼することもあります。
広報と人事のどちらかが主導して運用しているというわけではなく、たとえば、採用課題がここにあるからとか、この事象はきちんと発信したいなど、何を伝えたいかありきで企画を持ち寄るかたちになっています。
また、プレスリリースを出すタイミングに合わせて、プレスリリースの文面では表現できないことを、noteでも同時に出すということもしています。
他部署との連携は、まずは企画の段階で相談をもらい、進め方と公開タイミングをすり合わせた上で記事を作成してもらったり、一緒に作り上げていきます。最終的に広報と法務がチェックをして記事公開というフローですね。
外への発信が結果的にインナーコミュニケーションにも寄与
——2020年12月のマザーズ上場に携わったメンバーによるマガジン「プレイド IPOの軌跡」は大変な反響だったと思います。どのような想いで企画されたのですか?
IPOは本来秘密裏に進められるもので、社内でも知っているのはごく一部の社員だけです。でも、それを他の社員が他人事としてとらえてしまうのは、もったいないと感じていました。
また世の中にとっても、プレイドの企業規模でグローバルオファリング(国内と海外両方の市場に同時期に株式の募集や売り出しを実施して資金調達を行うこと)を伴う上場は珍しいケースなのではないかと思い、noteをとおして社外に発信することにしました。
こだわったのは書き手です。こういう内容の場合、一般的にはCFOが会社を代表して外部に向けて発信することが多いと思いますが、弊社ではIPOの実務に関わった担当者にも書いてもらいました。当事者だからこその視点はもちろん、文章に現れる人柄や熱量があります。上場の話だけではなく、会社としてのスタンスや、社員の魅力を示すことができた取り組みでした。
読み手が求めているコンテンツを常に意識し、読む理由を考える
——事業を前進させるための情報発信で大事にしていることを教えてください。
そのプラットフォームを使って何を達成したいのか、という目的の軸をしっかり持つことが大事です。たとえば採用のためのコンテンツをつくる場合、とりあえず社員紹介の記事をつくりがちです。しかし、目的を深堀りして、採用課題に直結した内容なのか、その発信によって事業を伸ばすためには何ができるのかまで考えることが肝心だと思います。
それは、読み手の求めているコンテンツを常に意識して、読み手がコンテンツを読む理由を考えることでもあります。そうしないと、自己満足の企業ポエムになってしまいますから。
読み手は社員も含まれます。社員もコンテンツを読んでくれるステークホルダーと意識することで、社内に対して情報の濃度をあげることになり、自社の理解度の向上にもつながります。企業の情報発信で迷いが出たら、会社の中の人がどう思うのかを意識して発信してみてはいかがでしょうか。
——社員もコンテンツを読んでくれるステークホルダーという考え方は、これからの情報発信に必要ですね。本日は企業コミュニケーションの本質を教えていただきました。ありがとうございました。
***
第16回目の「note pro活用企業が語る 発信はじめの一歩」は、11月18日(金)16時から開催いたします。「BtoBブランディング」をテーマに、ADKクリエイティブ・ワンの若木信さんと守田健右さんがご登壇予定です。ぜひご参加ください。