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280本以上の記事で「リアルなリクルート プロデザ室」を伝える。新卒・キャリア採用の母集団形成につなげる採用広報とは

企業の魅力を伝え、より社風にマッチした人の採用につなげる「オウンドメディアでの採用広報」。最近ではメディア運用が安定し、効果を感じはじめる企業が増えています。

今回は株式会社リクルートの「プロダクトデザイン室」を取材しました。この組織は、2021年4月、各事業別に分社化していたリクルートが事業会社を統合したことで誕生。幅広い事業のプロダクトづくりを横断的に担うチームです。

noteでは働く人や想いなどを伝えながら、世間にリアルなリクルートを届けたいと話す、プロダクトデザイン室の反中たんなかのぞむさん、岡田おかだ麻由子まゆこさん、木山きやままどかさんにお話を伺いました。

抱えていた課題、運用の工夫、発信の効果

“プロダクトに力を入れていること” を世間に伝えたい

——noteをはじめた背景をお聞かせください。

反中さん プロダクトデザイン室は、リクルートのプロダクトづくりに関わる「プロダクトマネージャー」と「デザインディレクター」などで構成される組織です。具体的には、『ゼクシィ』の新しいWebサービスを開発する人や、『ホットペッパービューティー』のアプリを改善する人など、さまざまなメンバーが在籍しています。

ほかの企業と同様に、私たちも各事業のプロダクトを成長させていく必要がありますが、そのためにはまだまだ多くの人材が必要です。そこで採用活動をするならば、組織情報を発信して、より多くの方々にリクルートを知ってもらうことが重要だと考えました。

リクルートは以前から営業会社のイメージが強いと思います。しかし、プロダクトの成長にも、かなり力を入れているんです。このことが世の中にまだ十分に伝わっていないという課題があったので、noteをはじめて、しっかりと組織の実態を伝えていく目的もありました。

インタビューを受ける反中望さん
株式会社リクルート プロダクト企画統括室 コミュニケーション&ナレッジ推進部
マネージャー 兼 プロダクトデザイン室 反中望さん

——つまりより多くの母集団を形成するために、採用広報をする必要性を感じたんですね。世の中にはさまざまな発信の場があると思いますが、noteを選んだ理由を教えてください。

反中さん 広告費用がかかるペイドメディア(企業が広告料を支払って利用する従来の媒体)では、費用の関係もあり高頻度で記事を出せません。自分たちで記事を書いてすぐに発信ができるような、小回りの利く場所が必要だと感じていました。

またリクルートでは、分社化時代にもnoteを運営しているチームがあり、蓄積された記事があったんです。それは資産になると思いましたね。さらにnoteには多くのクリエイターがいて、プロダクトマネージャーやデザイナーなどの関心領域とも親和性が高いと考えました。

高機能プラン「note pro」を利用すれば、独自ドメインの設定やロゴやファビコンを差し替えられるので、自社メディアとして利用できる点も大きかったです。

——noteのほかにペイドメディアや採用サイトでも情報発信をしていますよね。それぞれの役割をどのように位置づけていますか?

反中さん ペイドメディアでは、リクルートにまだ興味や関心がない方向けに発信しています。noteは、多少なりともプロダクトデザイン室の存在を知っている方に届けるイメージです。「どんな組織か」「どんなプロダクトをつくっているのか」といったリアルな情報を深く伝えて、興味を喚起するところから、応募につながる意欲の醸成を目指します。採用サイトは、募集要項など応募を後押しするような情報を伝える立ち位置です。

仲間を採用するための社員参加型メディア

——これまで月に約4〜5本のペースで多くの記事を公開してきたと思いますが、メインコンテンツはどういったものでしょうか。

反中さん プロダクトマネージャーとデザインディレクターの2職種に関する仕事紹介や働くメンバーの紹介ですね。記事ではプロダクトをつくるうえでの工夫などを伝えて、読者に「おもしろい仕事をしているんだな」と感じてもらうことを目標にしています。

以下のように、2つの職種ごとにマガジン機能で分類して、記事に辿り着きやすいように整理しているんです。

デザインディレクターに関する仕事紹介・働く人々の各マガジン
プロダクトマネージャーも同様のテーマでマガジンが用意されている

反中さん また、キャリア入社の社員に、入社前にどんな情報があったらうれしかったかをヒアリングしたとき、「入社後のギャップ」という声があがりました。そのため外から見た会社のイメージと異なる風土を伝える、『リクルートに転職しようかな…と思ったら見るページ』というテーマのマガジンを用意しています。

リクルートに転職しようかな…と思ったら見るページ』というテーマのマガジン
マガジン「リクルートに転職しようかな…と思ったら見るページ
風土や文化がわかる記事をまとめて、入社後のギャップを埋めている

岡田さん 同マガジン内でいちばん人気なのは、木山さんが担当した『「お前はどうしたいの?」ってすぐ詰められるってホント!?』という記事ですね。実際に世間のリクルート像について社員が本音で実態を語る点が、読んだ人から人気を得ていると思います。

実際の「お前はどうしたいの?」ってすぐ詰められるってホント!?』という記事
記事「お前はどうしたいの?」ってすぐ詰められるってホント!? 中途入社メンバーとマネージャーが語る、世間のリクルート像とリアルのギャップ

——ほかにも求職者に人気な記事があると聞きました。

反中さん マネジメント層へのインタビューマガジンが、かなり読まれています。マネジメント層がどういう考えを持つ人なのかを伝えることで、プロダクトデザイン室の魅力も届けられると感じて運用しているマガジンです。

またこのマガジンに登場する人は採用でも面接官になることが多く、求職者は、自分の面接担当者になるかもしれない人の人柄や考え方の傾向を事前に知るために、読んでくれていると思いますね。

実際のマガジン「【トップに聞く】プロダクトデザイン室を率いる人々」
マガジン「【トップに聞く】プロダクトデザイン室を率いる人々」
室長、部長、執行役員も取材に協力的

——働く方々の人柄を伝えるという点では、12月に毎日記事を投稿していくアドベントカレンダーにも取り組んでいましたよね。

木山さん 求職者は、やはり一緒に働く人がどんな人なのかに興味を持つものです。社内にはおもしろい人がたくさんいるので、それがアドベントカレンダーを通して伝わればいいなと思って企画しました。

アドベントカレンダーでは、書いてもらう内容にはあまり制限を設けていません。広く採用候補者になりうる人たちに向けて、メンバーの人となりや会社の文化・風土が伝わるものであれば、仕事の話に限らず趣味や社外活動の話でもいい。そうすると「その話、どういうこと!?」というような興味をひかれるテーマが次々出てくるんです(笑)。結果的に個性溢れる記事が集まるので、社員の雰囲気を伝える取り組みとしては効果的だと感じています。

2022年と2023年に取り組んだアドベントカレンダー
過去に取り組んだアドベントカレンダー

——ほかにも、社員さんが執筆したイベントレポートも多数掲載していますよね。

反中さん イベントレポートに関しては「ぜひ書いてください」とお願いしています(笑)。もちろん、依頼をしなくても「書きます!」といってくれる人もいますね。

リクルートには、自分が行きたい外部研修やイベントに手挙げで参加できる制度があり、率先して参加する方も多いです。社員が自発的に学んでいること自体、プロダクトデザイン室の魅力ですし、チーム内でもイベントでの学びを共有する光景をよく見かけます。その雰囲気を伝えていくのも、ひとつの価値だと思っているんです。

——メンバーやマネジメント層の方も含めて、みなさんnoteの運営にとても協力的ですね。それはなぜだと考えますか?

反中さん 採用広報の活動に関しては、もともと「仲間を増やすための大事な取り組み」だと社内にメッセージングしているんです。なので社員自身も少しでも「自分たちが育てているメディア」として自分ごと化してくれているのかなと思います。

実際に各チームの部長クラスを巻き込んで、取材対象者を探すのですが、依頼をしてもNGになることはほぼなく、私たちも助かっています。

岡田さん ちなみに取材やイベントレポートなどに、協力してくれた人にはオリジナルノベルティをプレゼントしています。リクルートには、もともとオリジナルTシャツやパーカーをつくる文化があるんですよ(笑)。

反中さん プロダクトデザイン室でも社内キャラのカエルを入れたトートバッグ、コードやアダプターを入れるケース、またおすすめ本の紹介記事を書いてくれた人には、記念にブックカバーなどをお渡ししましたね。

オリジナルデザインのブックカバー
執筆者へのお礼 オリジナルデザインで制作

同業界にいる人たちにも役立つ情報を届けたい

——noteを運営して、これまでどんな反響がありましたか? 

反中さん 採用担当のメンバーから、「選考中に求職者からnoteの記事について言及されることが増えた」と聞きました。ここ3年ほど高頻度で記事も公開できたので、note内にさまざまな記事を置くことができたなと思います。

行く先々で出会う人にも「いろんな情報発信をしていますよね」と言っていただけて、記事がストックされればされるほど、効果が出てくるものなんだなと感じました。

木山さん プロダクトデザイン室そのものの認知もあがったという実感がありますよね。リクルートがプロダクトを本気でつくっていることに対して、驚かれることが減りました。

冒頭でも話があったように、リクルートは世間で営業会社のイメージが強いと思いますが、その陰でのプロダクト開発の取り組みを地道に発信してきたことで、リクルートに対する印象が徐々に変わっている気がします。

——効果のあり・なしは、どんな指標で判断されていますか?

反中さん noteを含む採用広報施策全体の情報発信では、認知度調査などで確認しています。note単体では、PV数とスキ数です。よく見られている記事は、次の企画の参考にします。

——記事のストックも増えてきたとのことですが、求職者や社内で記事を読んでもらうために工夫していることはありますか?

岡田さん 私はnoteの運営業務に参加して1年弱ですが、マガジンの整理を担当しました。これまで約280記事(24年11月時点)がテーマ別に分類されていたのですが、テーマ自体に似通ったものがあったり、1記事が5テーマにまたがって掲載されていたりと、記事が探しづらい状態にあったんです。そこで、基本的に「1記事1テーマ」を掲げて、分類し直しました。

ほかの工夫としては、はじめてプロダクトデザイン室のnoteを訪れた方でも「読みたい記事」に辿り着けるように、おすすめ記事ランキングを1本つくりましたね。この記事は他社を参考にして、目次のようなイメージで作成。ホームにも記事を固定して、目立つようにしています。

実際のおすすめ記事ランキング
[目次]ランキング形式でおすすめ記事をご紹介します!
リクルート プロダクトデザイン室のホーム画面
記事はホームに固定して、読者を置いてけぼりにしない工夫を凝らしている

岡田さん 実は記事を整理すること自体にメリットがありました。「意外とこのテーマの記事は少ないんだな」と俯瞰的に見ることができたんです。足りないテーマから逆算して企画を練ることもできたのは、うれしい誤算でした。

——今後noteでやってみたいことはありますか?

反中さん 実は先日、noteの記事と連動したイベントを開催しました。

前述の『「お前はどうしたいの?」ってすぐ詰められるってホント!?』の記事に登場しているメンバーを呼んで、「リクルートの働き方」というテーマで話してもらいました。記事をフックに、伝えられる内容がより深くなりそうな連動イベントは、今後も増やしたいですね。

また、以前業界のカンファレンスにブースを出展したとき、note記事を素材に冊子をつくったことがあるんです。これが好評だったので、こうした読むきっかけになるものをもっとつくっていきたいと思います。

イベントなどで配布した印刷物
イベントなどで配布した印刷物。
イベントの講演内容などと関連するnote記事を紹介

岡田さん イラストなどを使って、よりわかりやすいコンテンツづくりをしたいですね。私はふだん、情報誌などの紙媒体を編集していますので、イラストレーターさんなどにご協力いただいて、インタビュー記事とは違う表現方法のコンテンツを増やしたいと思います。

木山さん 私は、業界貢献と掲げると話が大きいかもしれませんが、プロダクトデザイン業界で働く人にとっても有益な情報を発信したいです。noteは採用ターゲット以外の方も見ていて、業界からの注目度も高いんですよね。

そうすれば「リクルートってプロダクトデザイン領域で先進的な取り組みをやっているよね」という認知にもつながり、結果的にリクルートの思想に共感してくれる人の採用にもつながるのではないかと思います。

——今後取り組みたいこともワクワクするお話ばかりですね。ありがとうございました!

インタビューを受けるお三方の様子
(左・右)株式会社リクルート プロダクトデザイン室
コーポレートプロダクトデザイングループ 木山さん、岡田さん (中央)反中さん

まとめ
社員参加型の記事が蓄積されているプロダクトデザイン室のnote。「仕事の魅力をどう伝えればいいのか」「どんな切り口で記事を書けばいいのか」など、オウンドメディアの運営に迷ったときにヒントをくれると思います。ぜひプロダクトデザイン室のnoteをのぞいてみてください。

interviewed by 漆畑美佳 text by 曽根明子

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