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「みんなで発信する」文化をつくる。デザイナー採用に効かせる、LINE CREATIVE CENTERのnoteの裏側

コミュニケーションアプリ「LINE」などを展開するLINE株式会社のデザイン組織「LINE CREATIVE CENTER(以下、クリエイティブセンター)」は、デザイナー採用を目的にnoteで精力的な発信をおこなっています。note運用開始からおよそ2年、現場のデザイナーのみなさんが自由に書いた記事がコンスタントに投稿されています。

「当初は発信に苦手意識のあるデザイナーが多かった」と話すのは、noteの編集を担当するLINEの中谷さんと蓮田さん。お話を伺ってみると、記事を書いてもらうハードルを下げながら、クオリティを落とさないための工夫が詰まっていました。

note pro ミートアップとは?
note proを活用する法人クリエイターのみなさんに向けて毎月開催しているイベント。法人クリエイター同士がnoteを運用する上での学びや悩みを共有したり、社外での横のつながりをつくることで、よりnoteを活用いただくことを目的にnote proユーザー限定で開催しています。

サービスに直接関係がなくても、LINEのデザイナーが興味のあることであればOK

ー まずは、note開設に至った背景からお聞かせいただけますか?

中谷さん(以下、敬称略):デザイナー採用の面で、「LINEという会社は知っているが、デザイン組織のことはあまり知らない」という方が多いという課題感がありました。クリエイティブセンターや、所属するデザイナーに対する認知度や解像度の低さが採用活動の課題になっているのではと考え、TwitterやInstagramと同時にnoteをスタートしました。

話しているLINE中谷さんの写真

中谷 豪(GO) クリエイティブ戦略チーム
note「LINE CREATIVE CENTER」を立ち上げ。デザイン組織の裏方としてデザイナー採用や社外PRに従事。もともとは企画職、そしてUIデザイナー。その後、希望して現職。クリエイティブセンターが外部から憧れてもらえる組織にすることが今のミッション。

ー LINEさんが認知度で悩まれていたとは意外です。

中谷:「デザインの部署、日本にあったんですね」「100人もデザイナーさんがいらっしゃったんですね」などのお言葉をいただくことがよくありました。LINEのデザイナーに対するイメージが薄いんだなと。

そこで、読者を「デザイナーや、デザイナーといっしょに仕事をする人」と定義してnoteの運用をスタートしました。

内容については、「日記みたいなのはやめよう」ということ以外はあまり制限していなくて。たとえば、ARグラスについてLINEのデザイナーが解説した記事があるんですが、弊社がARグラスをつくっているわけではないんですよね。けれど、LINEのデザイナーでこういうことに興味を持っている人がいるんだということが伝わればそれでいい。デザイナーの興味関心や個性も含めて、クリエイティブセンターの情報だというふうに捉えています。

ー LINEのデザイナーのみなさんに対して興味を持ってもらえたら、という感じなんですね。

中谷:そうですね。他社のデザイナーだけでなく、デザイナーと関わりのあるデザイナー以外の職種の方にも読んでいただけたらいいなと思っています。デザイナーとのコミュニケーションのヒントにもなるかもしれませんし。

ー 具体的な記事作成の流れは?

蓮田さん(以下、敬称略):基本的には、記事公開までのスケジュールは、その時に執筆を担当するクリエイティブセンター内のチームに伝え、チーム内で誰がどんな記事を書くかはお任せしています。また、会社としてニュース性の高いものがあれば、これをテーマに書いてほしいと運営側から依頼することもあります。

このLINEのアプリアイコンの色が変わったことについての記事は、「LINEの色」がTwitterでトレンドに入ったタイミングで急遽執筆しました。もちろん会社からプレスリリースは出していたんですが、なぜアイコンの色が変わったのかという背景や経緯を、デザイナーの目線からわかりやすく解説したものがあった方がいいなと。そういった感じで、トレンドに合わせたものを急いで出す、ということもまれにありますね。

話しているLINE蓮田さんの写真

蓮田 麻理 クリエイティブコミュニケーションチーム
クリエイティブセンターの社内イベント、環境づくり、SNSの投稿などをサポート。noteの執筆者やスケジュール管理を主導している。

最初に取り組んだのは「書くハードルを下げる」こと

ー そのような運営体制ができあがるまでには、試行錯誤があったのかなと思うのですが。

中谷:はい、かなり試行錯誤しました。デザイナーのなかには外部に向けた文章やブログを書くことに不慣れな方が多く、「どうやったらいいの?」「何を書いたらいいの?」という反応が最初は多くて。日本語が母国語でないメンバーも半数以上在籍しているので、社内の翻訳チームやバイリンガルのメンバーに翻訳の協力をお願いしたりと調整しました。

「こういう感じでいいんですよ」という意味も込めて、最初の何本かの記事は僕が書きました。自己紹介や組織紹介、noteを使っている社内の他チームと同じテーマのものや、イベントレポートなど(真似しやすそうなものや横展開できそうなもの)からはじめて。そうやって書くハードルを下げつつ、翻訳チームという強力な助っ人がいることも示して体制を整えていきました。

あとは、当時のデザイナーチームのマネージャーにもnoteを書いてもらいました。リーダーポジションの人たちが率先して筆を取っているという姿勢を見せてもらって、「noteを書くことも採用のための大切な仕事」という空気感をつくっていきましたね。

ー クリエイティブセンターのファンを増やしたいという大きな目的を、デザイナーのみなさんに分かってもらうためにしていることって何かありますか?

蓮田noteの意図や目的は、口を酸っぱくして何度も、記事を依頼するたびに伝えています。さらに、書いて終わりの流れ作業と思われないよう、何か記事に反響があれば知らせますし、こちらが読んでおもしろいと思ったことについては丁寧にフィードバックしますね。デザイナーのみなさんの声を参考に作成した記事のガイドラインがあるので、それも新しい方が入られたタイミングなどで何度もお伝えしています。

中谷:noteの運用開始当初は、目的の周知を徹底できていたかというと正直あまり自信がないです。ある程度発信を続けないと成果は見えないものだと思っていたので、最初はとにかく続けるということを大切にしていました。当初は、書いてくれたメンバーとその上司の方にお礼や、記事にこんな反応がありましたということをマメに伝えていました。業務の中でやっていただいていることなので、フィードバックという意味合いもあります。

続けるためには、「書くのが楽しい」と思ってくれるのが一番ですし、発信するのが楽しくなって個人でnoteをやってくれてもいいと思っています。これまであまり外に向けてコミュニケーションしようという文化がない組織だったので、このnoteがその訓練になれば、という気持ちもありますね。

「書くことがない」にはどう向き合う?

ー ここからは参加者のみなさんからの質問にお答えいただければと思います。まずは、記事のネタ探しに関するご質問ですね。

蓮田:前に「何を書けばいいかわからない」とデザイナーから相談された際は、これまでに投稿された他のチームの記事をお見せしながら、テーマを提案したことがあります。クリエイティブセンター内にもさまざまなチームがあるので、同じテーマであっても違うチームの方が書くと、異なった見方の記事になるんですよね。

中谷:「書くことがない」は、みなさんも言われることが多いかと思うんですが、書くことがないということはないはずなんですよね。みんなしっかり仕事をしていて、日々いろんなインプットや経験をしているわけなので。書くことはあるはずなんですが、書いてみないと書けないというか。書けば書くだけ書けるようになるはずなので、私たちの方では最初のハードルだけ下げて、一歩目をなんとか踏み出してもらう。

あとネタ探しという点では、デザイナーのみなさんが今何に関わっているのか、何をしているのかを把握することが大事かなと思っています。知らないと、なぜその人がこの内容を書いたのかということがつかめなくてリアクションしづらかったりしますし。リリースされたサービスや成果物を追うだけじゃなくて、動いているプロジェクトや、その人の興味関心まで含めてなんとなくでいいので知っておくと、いい提案ができるんじゃないかなと思います。

ー 続いては、「noteと他SNSとの使い分けはどのように行なっていますか?」という質問です。

蓮田:noteは長文の記事をストックしていく場所、Twitterはカジュアルに短文で、告知的な使い方をしています。Instagramは画像でコミュニケーションするプラットフォームなので、ポートフォリオ感覚でLINEのデザインを画像で伝えることをメインにしています。各種SNSの特徴に合わせて使い分けている感じですね。

ー 「人事や広報との連携はどうされていますか?」

中谷:そもそもが採用に対する課題感からはじまっているので、人事や広報との連携は日頃から密に行なっています。広報とは専用のSlackチャンネルがあり、LINEのサービスに触れた記事が出る場合は必ず確認をお願いしていますし、はじめから記事のスケジュールに広報の確認が組み込まれていますね。
人事には課題や目標を共有しながら進めていて、記事の内容がインターンや中途採用に関わるものであれば都度確認を依頼しています。

ー 「KPIにはどんなものを置いていますか?また、ベンチマークしている企業などはありますか?」

中谷:スキ数やPV数が少なかったからといって記事の良し悪しは判断できないと思っているので、PV数など数値的なKPIは置いていません。振り返りとして読了率を見るくらいです。

強いてあげるなら、採用面接に来た方でnoteを読んでる方の割合を100%にしたい、という目標はありますね。だんだんと「読んでます」という方が増えてきたなという実感値はあります。

蓮田:ベンチマークは......Googleさん、Facebookさんなどアプリをつくっている企業のデザインブログを参考にしたことはありますが、企業ごとに伝えるべき内容はちがうので、ネタ探し程度に拝見しているという感じで、ベンチマークして追いかけている企業というのは特にないかもしれません。

中谷:クックパッドさん、mixiさんなど、デザインの部署が上手に採用広報されているなという企業さんからは勉強させてもらっています。noteをはじめる前は、LINEのエンジニアブログがあるので担当者に運用体制について話を聞いて参考にしましたね。

ー ありがとうございます。それでは最後にお二人からなにかメッセージがあれば、お願いします。

中谷:書く習慣がない人にとっては、noteを書くのって大変だと思われがちなので、本当に最初の一歩を踏み出してもらうことが一番大切だと思います。書くことが苦手だという方でも、回数を重ねていけばきっといい記事が上がってくると思いますし、1人書くと2人3人というふうに、自分にもできるかなと輪が広がっていくと思います。採用目的となると成果らしいものが見えてくるのは半年〜1年というスパンだと思うので、PV数などにとらわれず、続けることを大切に、みんなが楽しくやれるように準備していただければいいかなと思います!

蓮田:記事の依頼をするときは、「文章を書くことは、あなたの考え方を体系化したり、表現する練習になりますよ」というふうに、相手にとってのメリットを伝えるのもおすすめです。(ミートアップの交流パートでは)みなさんがどんなnoteを書いているか知ることができ、まねしてみたいと思うものもあって勉強になりました。ありがとうございました!

ミートアップ中の議事録をまとめたスライドも特別に公開!

LINEさんのnote pro導入の経緯や、採用全体におけるnoteの役割などについては、こちらのクリエイターファイルでもくわしく伺っています。

ミートアップに参加したみなさんの声

事例を交えながら現在の運営に至るまでの経緯もお伺いすることができ、とても参考になりました。他社さんとのセッションの時間も楽しかったです。
また別の機会があれば参加させて頂きたいです。今後とも宜しくお願い致します。
楽しかったです!LINEさんの中で、どういう苦労があって、どういう工夫をされているのかを、聞くことができて、自分たちも頑張ろうと思える内容でした。いつも、ありがとうございます!
一緒に書いてもらうメンバーのモチベーションをどう上げていくかで悩んでいたのでなるほどの連続でした。肩肘はらず楽しくたくさん書いていこうと思いました。ありがとうございます。
はじめての参加で緊張しましたが、やさしい雰囲気の中でトークセッションや交流パートがあり、気持ちよく参加できました。内容についても、とても参考になりました!
LINE様の中での実施例が具体的でとても参考になりました。弊社とは目的が異なりますが、社内も巻き込んで行っていくような段階や施策が必要になったときには真似させて頂こうと思いました。
「ファンを増やす」は私の部署のミッションでもあり、大変頷く部分の多いセッションでした。比較的みんなで盛り上げる雰囲気や全員が採用広報に理解を示してくれる環境ではあるものの、こつこつフィードバックしたり目的を口酸っぱく言い続けることはどの企業でも必要だと感じました。開催いただき、ありがとうございました。

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!

zoom上の参加者の集合写真

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今回ご紹介したミートアップや、「もう少し基礎的なnote pro運営のイロハを知りたい!」という方向けのオンライン勉強会を開催しています。詳細はnote proご担当者宛てのメールやFacebookグループで随時ご案内していますので、ぜひご確認ください。Zoomのカメラをオフにして、お耳だけの参加でも大歓迎です!

それでは、次回のミートアップでまたお会いしましょう。

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