ファンと深くつながるためにコンテストを活用。海をたのしみたいひとのための「ヤマハ発動機 | 海の時間です。」のnote
2021年6月に開設されたヤマハ発動機の公式note「ヤマハ発動機 | 海の時間です。」18年間続いたメールマガジン「Salty life」からnoteに引っ越しし、海を愛するひとに向けてさまざまなマリン情報を提供しています。
noteの目的は、新しいファンの獲得。コアなマリンファンだけでなく、もっとライトな層をも取り込むために、コンテンツの内容を吟味。コアなファンに向けたニッチなものから、漁船やセーリングチームの紹介などの比較的ライトなものまで、多数のコンテンツを掲載しています。
さらに「#海での時間」「#エンジンがかかった瞬間」の2つのコンテストの実施により、それまでヤマハ発動機のことをよく知らなかったようなライトなマリンファンともつながることができたといいます。
コツコツと情報発信をしながらファン層を広げたり、ファンとコミュニケーションをとるにはどうすればいいのか━━。ブランドマーケティング部でnoteをはじめとするWebサイトの改善・リニューアルを数多く手がける沼田菜月さんに、発信のコツやファンとのコミュニケーションのとり方についてうかがいました。
いままでとは違う層にアプローチしたかった
━━まず、ヤマハ発動機はどんな企業なのかご説明いただけますでしょうか。
沼田 ヤマハ発動機と聞くと、スクーターや大型バイクをつくっている会社だと思われている方が多いと思います。バイクもつくっていますが、ほかにも電動アシスト自転車やボートなどの製品を扱っています。とくにボートは日本でのシェアがナンバーワンで、「マリンといえばヤマハ」と思っていただけるような企業かなと思います。
プールもつくっていまして、じつはみなさんが子どものころから泳いでいたプールもヤマハ製のものがとても多いです。ヤマハのプールは、ボートの艇体と同じFRPといわれる素材からできているんです。ほかにも、電子部品を実装するための機械などもつくっています。
ちなみに、ときどき間違われますが、楽器をつくっているヤマハ株式会社とは別の会社です。ヤマハ発動機は赤いロゴ、ヤマハ株式会社は紫のロゴです。
━━noteをはじめたきっかけや経緯を教えてください。
沼田 私たちはnoteをはじめる前から、マリン関連の情報発信として、月1でメールマガジン「Salty life」を配信していました。海のなかでも、とくにボート関連のマリン業界というのは、普段の生活ではなかなか関わることがないニッチな業界で、知っているひとも限られてきます。ですので、「ファンを増やす」ことを一番の目的として運営していました。テーマは「日常でも潮の香りを感じていただけるメールマガジン」です。
Salty lifeは2003年から配信開始しており、登録者数も4万6,000人いらっしゃいます。しかし、長くご愛用いただいている会員様の年齢層が上がってきており、若年層にアプローチできていないことや、メールマガジンという形式がクローズドなものであるという課題がありました。
そこで、もっと若い方や会員以外の方にも届くような情報発信をしたいと考え、Salty lifeから「海の時間です。」と名前を変え、noteに引っ越ししました。
Salty lifeは終了しましたが、メールマガジンという形式は現在も継続しており、noteで公開したコンテンツをメールマガジンにして会員の方に届けています。
━━noteでもメールマガジンでも情報を受け取れるということですね。以前のメールマガジンとnoteでは、コンテンツの内容は変わりましたか。
沼田 はい、変えました。メールマガジンでは、船舶免許を持っている会員の方が多いこともあり、かなりニッチなコンテンツを掲載していました。
でもnoteでは、もう少しライトに「海、たのしそうだな」と思っているような方にも届けたいので、わかりやすいテーマに絞っています。漁船やセーリングチームの紹介など、ライトな層にもたのしんでいただけるようなコンテンツを企画して掲載しています。
noteはSNSとの親和性が高い
━━note以外の選択肢もあったと思いますが、なぜnote proを選ばれたのですか。
沼田 note proを選んだ理由は3つあります。1つめは、いままで運用してきたメールマガジンとの相性がよいこと。メールマガジンでは長い文章や写真をつかっていましたが、note proだとそういったコンテンツを生かせると考えました。フォロー機能があることでファンと継続的なつながりを持てるのも魅力です。
2つめは、SNS、とくにTwitterとの親和性が高いことと、SEOも問題なく機能しているので、いままでとは違う層へのアプローチができると感じたからです。noteだといい記事が拡散されやすいし、コメントやスキなどでお客様とコミュニケーションがとれるのも大きなメリットです。
3つめは、note proならではの機能に魅力を感じたからです。私たちは記事の執筆をライターさんに依頼しているので、予約投稿機能は重宝しています。また、公式マークがあることで信頼性が高まります。そして、分析もしっかりしていきたいので、note proを選びました。
━━SNSとの親和性というところは他社様もよくおっしゃっています。自社のプラットフォームでは難しいけれど、noteにはいい記事をSNSでシェアしようという文化があると。お客様がSNSにシェアしてくれたり、スキをつけて自分の気持ちを表してくれるので、お客様とのコミュニケーションをとりやすいということでnoteを選んでいただいている企業様は多いです。
愛のあるメンバーを巻き込む
━━運営体制を教えてください。
沼田 いまは社内メンバー4人、外部パートナーの企画兼ライターさん1人の5人体制で回しています。社内メンバーのうち私を含めた2人は、もともとマリン事業の営業をしていて、海に愛があります。が、ほかの2人はブランディング周りの仕事をすることが多く、あまり海のことを知りません。でも、海に愛のあるメンバーがいる一方で海を知らないメンバーもいる、というのは、編集体制としてはとてもいいバランスがとれていると思います。
というのは、コアなマリンファンは、船舶免許を持っているひとじゃないとわからないような難しい用語をつかいがちなんです。編集メンバーにあまり海を知らないひとが入っていると、難しい用語をわかりやすい言葉に言い換えてくれます。
メンバーのなかで一番海に愛があるのは、企画兼ライターさんかもしれません。やっぱり発信したいテーマに対して愛を持って語れるひとのつくるコンテンツはすごくおもしろいし、noteとの相性もいいと思います。noteでも結構コアな記事がバズっていたりもするので。愛があるからこそおもしろくなるのかなと思っています。
━━noteでは熱量のある記事は、コアであればあるほど、ファンの方や興味を持った方がおもしろがってどんどん見にきてくれる傾向があると思います。だからこそ、テーマに対して愛があるメンバーを巻き込んでコンテンツを作成するのはとても大事です。
コンテンツの企画・制作はどのようにしていますか。
沼田 基本的にはネタ出し~企画までライターさんにお任せすることが多いですが、月に1回編集会議を行い、コンテンツの企画案を出し合っています。
運用のポイントとしては、「見て・読んで・スキしてたのしいコンテンツ」を意識しています。ヘッダー画像のイラストを季節ごとに更新したり、スキのお礼イラストをつけたり。
海に関連したnoteなので、お礼イラストもお魚にしていて、スキをするとお魚が釣れるという仕様になっています。季節によってお魚も変えるなどしてこだわっていますので、ぜひ季節の魚を釣っていただけるとうれしいです。
━━KPIは運用しながら決めていくスタイルだとうかがいました。KPIをあえて決めていないのはなぜでしょうか?
沼田 PVやフォロワー数といった指標はいくつかあると思います。ですが、PVをKPIにすると、「こういうのがバズりそう」というようなちょっと違う方向性に行ってしまうなと。そうではなく、メールマガジン開始当時からいままで積み上げてきたテーマでしっかりとよいコンテンツを出し続けることを大切にしていったほうがいいなと思っています。ただ、ブランディングのゴールを見据えて運用していきたいので、KPIについてはいまでも模索中です。
コンテスト実施により
ライトなファンに興味を持ってもらえた
━━noteをやってよかったことや効果は?
沼田 若い層を取り込むことができ、読者層が広がりました。noteの記事を更新したら必ずTwitterでシェアしており、noteやTwitterのフォロワーもじわじわと増えています。
また、お客様と相互コミュニケーションがとれるようになりました。とくに2回実施させていただいたコンテスト「#海での時間」「#エンジンがかかった瞬間」によって、お客様と特別なつながりができたと思います。
フォローしていただくだけでなく、ヤマハ発動機が出したお題に対して深く考えて投稿してくださった、ヤマハ発動機に対して一歩踏み込んでくれたファンとつながれたのはよかったですね。
いままでヤマハ発動機のnoteはマリンファンに届けてきましたが、コンテストの実施によって、いままでとは違う層にも届けることができました。たとえば「#海での時間」では、ダイビングをしたとか、ちょっと海に散歩に行ってきたという記事の投稿がありました。こういったライトなファンの方にもヤマハ発動機のことを知っていただき、noteの新たな読者になっていただくきっかけになったと思います。
━━コンテスト開催にあたり、社員の方がリレー形式で「海での時間」をテーマにしたnoteを書かれました。社内の反響はいかがでしたか?
沼田 noteをはじめたことで、社内ブランディングにも効果が出ています。noteに掲載している記事を社内のイントラネットにときどき掲載し、マリンに対する認知を社内に広めています。
社員が書いたnote記事は「海での時間」が初めてでしたが、社内のイントラネットでも紹介し、非常に多くの方に読んでいただきました。ヤマハ発動機のなかでも、海が好きなメンバーもいますし、海とライトに付き合っているメンバーもいます。いろいろな価値観が見えて、緩やかなコミュニケーションがとれたと思います。
━━noteで記事が拡散されて外からの注目が集まると、自社の社員も「自分たちはいいことをしているんだ」と認識できるので、より自社のことを好きになるという効果もありますよね。定量的効果を測るのは難しくても、定性的効果はじんわりと感じることができるのかなと思います。
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