メディア運営で大切なことは「信頼を築くこと」。「面白がり力」が人とのつながりを生む
長引くコロナ禍で、企業によるオンラインでの情報発信は重要性を増すばかり。そんななかnoteでは、「オンライン発信のノウハウがない」「運用を続けられる自信がない」という方々に向けて「note pro活用企業が語る 発信はじめの一歩」というインタビューシリーズをスタートしました。note proを導入して自社メディアのファンづくりに成功している企業の方々にご登壇いただき、 note proを選んだ理由や発信のコツなどをお話しいただきます。
第1回目の登壇者は、2021年4月にnote pro運用1周年を迎えた株式会社フィラメントの平井征輝さんです。note pro導入の経緯や実際の運用法などについておうかがいしました。
登壇者プロフィール
平井 征輝(ひらい まさき)さん
株式会社フィラメント
CMO(Chief Marketing Officer)
オウンドメディア「QUMZINE(クムジン)」編集長
滋賀県出身。プロモーションエージェンシー、広告代理店勤務を経て、2018年5月フィラメントに入社。これまで、外資系スポーツメーカー、製薬会社、大学など複数のクライアントのプロモーション案件にたずさわり、ユーザー・コミュニケーションのスペシャリストとして豊富な知見を有する。SNS:Twitter・Facebook・LinkedIn
note:フィラメント公式note
株式会社フィラメント
閃きと行動を引き出す伴走型「アイディエーションファーム」として、事業開発コンサルティングや人づくり支援、アイデア発想支援などを行う。
コーポレートサイト:https://thefilament.jp/
自社の価値やストーリーの言語化が必要だった
ーそもそも、なぜネットで発信をしようと考えたのですか。
ボクらフィラメントは、いろんなひとからよく「なにをやっているかわからない会社だね」と言われます(笑)。メーカーのように、ものを作って売っているわけではないので、業務の中身がわかりづらいんです。そこで、自分たちの会社の価値やストーリーを、言語化してきちんと伝えることが必要だと考えました。
フィラメントは「よりよい未来をつくる」ために企業活動をしています。ですから、自分たちのメディアも「よりよい未来をつくるためのよりよい情報を交換しあえる場所」にしたかったんですよね。
オウンドメディアのQUMZINE(クムジン)では、本業である新規事業のコンサルティングに直結する記事はあまり書いていません。かわりに、雑学や一見するとムダとも思えるような知識に関する記事を多く載せています。
それは、ボクらがふだんから「面白がり力」を大事にしているからです。「面白がり力」とは、とにかくなんでもおもしろがって「触れてみる」「挑戦してみる」こと。「面白がり力」で知る雑学や知識そのものや、それらを知るまでの過程を記事にするんです。
QUMZINEをとおして、ボクたちのこうした思想や活動をおもしろがってくれる仲間を増やしたいと考えています。たとえすぐに収益につながる成果がなかったとしても、QUMZINEをつうじて知り合った仲間がいつか本業で助けてくれたり、一緒に仕事をしたりできればいいなと思いますね。
note proを導入した5つの理由・メリット
ー最終的にnote proを採用した理由と、よかった点を教えてください。
note pro導入を決めた1番の理由は、noteの世界観に共感したことです。noteではだれでも自由に発信ができ、さらにネット上で次の段階へ展開できるところもいいな、と思っています。
また、専門的な知識をもっていないひとでもデザインやレイアウトを美しく、カッコよくできるのも魅力ですね。いままでこういうものはなかったと思います。
それから、発信をはじめるにあたってガイドラインになるようなトンマナ(トーン&マナー)がすでにできあがっている点もメリットでした。書き方や発信のルールがすでにあるていどできていて、よい記事、わるい記事、読まれる記事、そうでない記事というのがわかりやすいんです。noteのカスタマーサクセス担当者の意見も参考にさせていただけますし、自前でオウンドメディアをやるよりもPDCAを回しやすいですね。
SEOに強いのもかなり大きなメリットです。自前のメディアでは、どんなにSEOに気を配ってもなかなか検索の上位に上がってこなかったんですよね。でもnoteで記事を書きはじめてからは、上位になりやすいことが実感できました。とても助かっています。
「QUMZINEに出たい」と言われるメディアをめざして
ー記事のラインナップを見てみると、かなり著名な方にも取材されていますね。
当初から「できるだけ多くのビジネス界の著名人にQUMZINEへ登場していただく」ことをめざしていました。「著名人が多く出ているメディアなら自分も出てみたい」とみなさんに思ってもらえますからね。そういう「信頼されるメディア」に早くなる必要があると考えていたので、スタートダッシュの段階からかなり多くの方に対して取材交渉をはじめたんです。
取材を理由に「会いたかったひとに会える」というのは、メディアをもっている大きな利点ですよね。おもしろい話が聞けてそれを記事にできる。そうやってよいコンテンツが増えていけば、「面白いメディアだね。出てもいいよ」とさらに多くの方に思ってもらえるようになると考えています。
編集のコアメンバー3名には週5つのネタ出しをノルマ化
ーコンテンツを増やすことが大切だとはわかっていても、コンスタントにネタを出すのは大変ではないですか? どういった編集体制で取り組まれているのでしょう?
編集チームは3名です。それに、役員と編集統括の3名がメンター的な役割をしています。コアメンバーの3名は毎週の編集会議で各自5つネタを出すのがノルマ。それをブラッシュアップして、隔週でメンターを巻き込んだ会議をします。そこから実際の企画に落としこんでいくやり方です。
ー毎週5つアイデアを出すのはむずかしいことのように思えます。アイデアを出すためにくふうしていることや大事にしていることはなんですか?
ネタの切り口や取りあげるひとのかけあわせに独自性を発揮するようにしています。たとえば、この記事。自社の顧問でもある早稲田大学ビジネススクール教授・入山 章栄(いりやま あきえ)先生と、不良ファッション専門のECサイトを手がけるBIRTHJAPAN(バースジャパン)・石川智之社長の対談です。
もうひとつ大事にしているのは、内輪ネタにならないようすることです。自分たちのことをまったく知らないひとが読んでもわかるよう意識してつくっていますね。それと、タイトルを見たときに、自分が読みたいと思うかどうかは重要です。カスタマーサクセスの方にも相談して、参考にさせていただいています。
よいアイデアは雑談から生まれる
ー入山先生と石川社長の対談は見た目のインパクトが強く、記事のタイトルもおもしろいですね(笑)このようなアイデアはどのようにして生まれるのでしょうか?
この企画は雑談から生まれたんです。ボクらの会社では、ふだんから30分くらいの「雑談タイム」を設けていて、雑談から企画にまでふくらんでいくことがすごく多いです。だれかが「これっておもしろくない?」と投げかけたことに対して、まわりがおもしろがるんです。がっちり会議で話しあっても、おもしろいアイデアはあまり出てこないんですよね。
雑談で大事なのは「拾うこと」。話しているなかでおもしろそうなことはたくさんあるのに、見逃してしまうことが多いんです。だから「見逃さない力」、「面白がり力」に長けていることが必要なんですね。
自分たちならではの発信をつづけることが「信頼」を生む
ーnote pro運営1周年のさい、メディア運営において大事なのは「信頼」だと気づいたと書かれていました。詳しく教えていただけますか。
東京大学名誉教授の早野龍五先生への取材時に、なぜ取材を受けてくださったのかたずねたんです。そうしたら、早野先生に関わりのある方々がQUMZINEの過去号に登場していたので、ボクらに「縁を感じた」とおっしゃってくださいました。
QUMZINEに「出てもいいよ」と思っていただけたということは、つまりQUMZINEというメディアとフィラメントを信頼していただけたということです。メディアの運営を長くつづけていくには、この「信頼」がとても重要なんだということを実感しました。
さらなる信頼を得られるよう、これからも「面白がり力」を発揮して独自の発信をつづけていきたいと思っています。
ーオウンドメディアのQUMZINEをとおして、オンラインで人間関係が広がっていく様子がよく伝わってきました。これからもおもしろい企画を期待しています。本日はありがとうございました。
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第2回目の「note pro活用企業が語る 発信はじめの一歩」は、6月28日(月)12:00に開始します。「社外ともつながるオープン社内報」をテーマに、株式会社ビザスク小川昌子さんがご登壇予定です。ぜひご参加ください。