「転職を意識していない層」もターゲット。自社をイメージしてもらえる "解像度の高い" noteを発信するユニークワンの採用広報
すでに自社に興味を持っている採用候補者だけでなく、転職を意識していない潜在的に存在する将来の求職者にも、企業の存在をアピールしたい——そのような採用広報を模索している法人は多いのではないでしょうか。
新潟県を拠点とするユニークワンさんは、「Webマーケティング支援」と「Webメディア運営」の2つを中心とした広告会社。2020年9月から、採用広報のためnoteを使いはじめました。
目指したのは「転職を意識していない層」も視野に入れた、ユニークワンへの解像度が上がるような発信。潜在層への事前アピールとともに、採用のミスマッチを軽減するためにnoteを活用しています。
ここでは2022年2月8日に開催された「note proミートアップ」イベントの内容を元に、採用広報におけるnote運営のコツを紹介します。
転職前の人にも情報を届けるためにnoteを選んだ
ユニークワンは、もともと求職者向けプラットフォームサービスを利用して採用コンテンツを発信していました。このようなサービスは「転職/就職したい層」にダイレクトに自社の魅力を伝えるには便利です。
しかし、できればその前段階にある「いますぐは転職を考えていない層」にも会社を知ってほしい——そんな思いから、noteの活用を決めました。
「採用サイトにたどり着く前段階の人々がいらっしゃいます。この人たちも視野に入れた発信をすることで、転職時に候補として思い出してもらいたい」と同社ブランドコミュニケーション部の櫻井 剛さん。noteを使いはじめたきっかけは、同社の立川和行社長と櫻井さんが「noteが大好きになった」ことでした。
「採用コンサルベンチャー『HeaR(ヒアー)』さんのnoteを見かけたのがきっかけです。その前からnoteは知っていましたが、こんな使い方があるんだ! と感じました」
そこで、最初は求職者向けの「オープン社内報」としてnoteを開始しました。オープン社内報とは、一般的には社員しか見ることのできない「社内報」を社外にもオープンにすることで、会社のありのままの様子を感じ取ってもらう記事のこと。
求職者向けプラットフォームでも社員インタビューや直近のニュースを発信していましたが、noteではターゲットを潜在層にまで広げ、さまざまなコンテンツを載せています。
目指すのは、ユニークワンの解像度が上がる記事
記事づくりで意識するのは、「読み終わったとき、ユニークワンの解像度が上がる記事」です。社員紹介記事では、「入社前」にフォーカスした、社員一人ひとりの人柄が具体的にわかる記事を意識します。
「通常、求職者向けの媒体では『入社してから』の仕事内容を語ってもらうことが多いと思います。しかし、転職行為自体をより身近に感じてもらえるような記事として、あえて入社する前にフォーカスした記事も用意しました」と櫻井さん。
自分に近しい経験や考えをもつひとがどうしてこの会社を選んだのか。社員を通してユニークワンをイメージしやすいような記事づくりを心がけているそうです。
もちろん、具体的な仕事内容が知りたい人のために、職種ごとの記事もあります。
コンテンツは多種多様。いくつかの軸を中心に整理
ユニークワンのnoteは「どんどん記事を出す場所」がコンセプト。そのため、記事の量と種類はとても豊富です。記事をコンセプトごとに整理したマガジンを用意し、来訪した読者が目的の記事にたどり着きやすくなるように工夫しています。例えば、
「ユニークワンのニュース」
プレスリリースには載せきれない情報を補完する読み物。提携先企業との対談など。
「ユニークワンで働く人」
入社前のその人の人生にスポットを当てたインタビュー。
「企業でnoteを使いこなそうシリーズ」
自社でnoteを運用するなかで蓄積されたノウハウ集。他の企業のnote担当者向けにまとめている。
マガジンにまとめられた記事は、その後の使い道も考えられたコンテンツばかりです。例えば「ユニークワンのニュース」マガジンにある提携企業との対談記事。他社との提携を知らせるプレスリリースに、対談記事のURLを入れておけば、リリース内容に具体性や深みが増す効果があります。加えて、記事をコーポレートサイトではなくnoteに掲載することで、プレスリリース経由以外のより広い層にも読まれることを期待できます。
ノウハウ集も自社だけに向けたものではありません。「企業でnoteを使いこなそうシリーズ」に蓄積されたnote運用の知見が評価されて他企業からnote運用の相談をいただき、仕事の受注につながる事例も増えているそうです。
「新潟あるある」の記事は、新潟県を拠点とする同社社員ならではの視点を生かして作られました。採用候補者でなくても、新潟県にゆかりのある読者にひろく知ってもらうきっかけとなったnoteです。
note担当の櫻井さんと曽我智恵里さんは、たくさんの記事のネタを出すために「他社のnoteやブログをたくさん読んでいる」とのこと。また、社員の何気ない一言や行動を見て「こういう記事ネタはどうだろう」と定期的にアイデアを出しているそうです。
求職者に事前に面接官の紹介noteを共有
ユニークワンの採用の現場では、面接にくる人に対し、面接官を紹介するnoteを共有します。
「『こういう人が面接しますので、読んできてください』と候補者にnoteの記事を事前にお伝えしています。すると求職者側も『面接官はこんな人柄なのか』と事前にわかります。相手の人となりがまったくわからない状態で面接に臨む場合に比べて、なにを、どのように話すべきかイメージしやすくなりすし、面接での認識合わせの時間が減るので、採用に向けたより深い話に集中できます」と櫻井さんは説明します。
入社した人には「noteを全部読みました」という人も多いそうです。一緒に働く人や社内の雰囲気などをあらかじめ感じ取ってから来てくれるので、採用者とのミスマッチが減りました。採用者には入社後に「どんなコンテンツを見ましたか?」というアンケートを行い、今後の記事作成の参考にしています。
「社員のインタビュー記事をnoteで出したところ、その社員のTwitterに『ユニークワンで働きたいがどうすればいいか』と連絡がきたこともあります。その人とは無事に話がまとまって、いまユニークワンで働いてもらっています」と櫻井さん。
また、採用イベントでもnoteの記事は役に立っています。「イベントは時間が限られますが、noteに採用に関する記事があれば、イベントの最後に『採用に関することはすべてnoteにまとまっているので見てください』という案内ができます。興味がある人ほどしっかりnoteを見てくれるので便利です」。
「記事をどう使うか」を意識して編集する
noteの運営は2人体制で行っています。曽我さんがライティングを担当。櫻井さんが編集者として原稿を読んで、最終チェックを担当します。2人で記事の企画案を出し、月1回「今月の記事テーマ案一覧」を共有します。
櫻井さんは、「ライター(主観)と編集者(客観)の組み合わせが大事」と言います。他部署の課題や役割を知って、はじめてわかることもあります。なので、編集者が部署を俯瞰した視点を持っていることも重要です。ライターがもつ主観や現場ならではの感覚を生かしつつ、読者が理解できるよう編集者が客観的にチューニングするイメージです。
「原稿チェックのポイントは『読み物として面白いかどうか』、そして『表現として他者が読んで理解できるかどうか』。どうしても(一人で書いた)記事は、客観性がなくなっていきます。ライティングスキルとは別の視点で、伝えたいことがわかりにくくなっていないか、構成は変えなくていいか、そういったことを確認しています」(櫻井さん)
採用公式サイトとnoteをシームレスに融合する
ユニークワンさんの採用広報メディアには、noteのほかに採用公式サイトもあります。
なぜ採用サイトとnoteの2本建てにしたのでしょうか? そこには明確なすみ分けがありました。
「採用サイトは求人票からnoteの記事まで、採用関連情報のハブとなる場所として一覧性を重視し設計しました。サイト作成を検討していた当時、『STUDIO』というWebサイト作成サービスが始まったので、使ってみたいと思っていましたし(笑)。
noteはRSS(*)に対応しているので、採用サイトにnoteの記事をRSSで引っぱってきてタイムラインのように見せることができます。また、読んでほしい記事をピンポイントで貼りつけられるので、noteに点在している記事を体系立ててまとめ、シームレスに採用サイトのコンテンツとして並べることができます」。
公式サイトを採用関連情報のハブとする一方、noteは記事を気軽にどんどん出していく動的な場所として使い分けているのだそうです。
noteはいまの会社の課題を網羅的に解決する場所
noteのKPIは厳密には設定はしていません。ただし、ライトな記事でもいいので、記事を週1回、途切れず出すことをルールとしています。
「note単体で明確に指標を追い求めてはいません。ただ、採用率や定着率のベースの数と関連づけています」と櫻井さん。
内定承諾率の向上や、応募者の増加、離職者の減少が最終的なゴール。ですから、PVを追いかけることはしていません。とにかく、記事を継続的に更新することを目標としています。 入社前にnoteを読んでもらうことで、入社後のアンマッチ・ミスマッチが減ったそうです。
副次的な効果として、既存社員も社内外の意思統一がはかりやすくなったほか、社長の考えを知り理解を深められるようになったそうです。
「社内でSlackによる記事の共有を継続して行っており、社員全体の意志統一がはかりやすくなりました。立川社長みずからnoteを書くことで、社員から社外の方まで、経営トップが何を考えているのか、理解を深められる環境が作れました。制作したコンテンツは社内のストック資産にもなります」と櫻井さん。
このように、noteはいまの会社の課題を解決する場所として機能しています。記事がきっかけで社内に新しい制度ができたりもしました。
今後もnoteのコンセプトや目標は、ゆるやかに動かしたり広げたりする予定。櫻井さんは、「柔軟に方向転換するのがポイントだと考えます」と結んでくれました。
noteの法人向けプラン note proの詳細はこちら
note proでの情報発信、活用方法に疑問や不安はありませんか?
担当者が、貴社の課題とnote proの特性を踏まえて、活用方法や参考事例をご提案いたします。下記からお気軽にオンライン個別相談をお申し込みください。
※note proご利用中の方は、運営サポートページよりお問い合わせいただけます