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公式noteの書き手は約200人。「書いて、届ける。を文化に」を実現するために、SHIFTが取り組んだこと

株式会社SHIFT(以下、SHIFT)がnoteで運営する「SHIFT Group技術ブログ」。同ブログでは、社内の「公式ブロガー」と呼ばれる書き手約200人が、20以上の部署から参加し、月20〜40本ほどの記事を執筆しています。技術の専門的なコンテンツに加えて、非IT系の読者が関心を寄せるビジネス系の記事も発信し、社内外で多くの支持を得ています。

ここでは2023年2月21日開催の「note proミートアップ」に登壇いただいたSHIFT広報の野澤のざわ知子ともこさんのお話をもとに、全社を巻き込むnote運営のコツを探ります。社内で「書き手が書き手を呼ぶ」と野澤さんが表現するほどの盛り上がりを見せるSHIFTさんのnoteは、果たしてどのように作り上げられたのでしょうか。

ポイントは3つ

・執筆者を増やすには、まず上司や経営層も含めた社内メンバーの理解を得ることが大切。
・記事に対する細やかなフィードバックを行うことで、次の執筆へのモチベーションを持ってくれるという好循環がうまれている。
・社内の知見を活かしてnote運営の一部を自動化したことで、多くのコンテンツを安定して公開できる体制を構築できた。

これらを念頭に記事をお楽しみください。

note pro ミートアップとは?
note proを活用する法人クリエイターのみなさんに向けて毎月開催しているイベント。法人クリエイター同士がnoteを運用する上での学びや悩みを共有したり、社外での横のつながりをつくることで、よりnoteを活用いただくことを目的にnote proユーザー限定で開催しています。


「『書いて、届ける』を文化にして、全員で広報を」がnoteでめざす姿

SHIFTは、ソフトウェアのテストによる「品質保証」を主軸に、ITの総合サービスを展開する企業です。2005年の設立で、現在はグループ全体で34社、1万人(※1)の従業員を抱え、インフラやセキュリティなど手掛けるジャンルは多岐にわたります。

※1 グループ会社数は2023年4月時点、グループ全体の従業員数は2023年6月時点の内容です。

同社が技術ブログを立ち上げた背景としては「広報活動は従業員みんなでできること」という考え方が根底にありました。野澤さんは従業員が知識や経験を記録し、アウトプットすることを社内の「当たり前」(=文化)にしていこうと考え、その発信の場としてnoteを始めています。

株式会社SHIFT 広報担当
野澤知子さん

野澤さんは社内メンバーがSHIFTの公式ブロガーになることで、組織と個人の双方にとってさまざまなメリットがあると考えています。

組織としては、採用をはじめとした社外へのブランディングに効果が期待できます。社員自ら筆を執った記事には、求人票では伝えきれないSHIFTのカルチャーや魅力が意外なほどにじみ出るもの。「『この人たちと働いてみたい』と、ブログを読んだ人が入社するようなケースが出たら面白い」と、野澤さんは話します。ブロガー自身の帰属意識とエンゲージメントを高める、インナーブランディングの側面もあるでしょう。

また技術ブログの記事が新規の見込み客獲得につながる可能性も。専門性の高いブログの記事から「その分野に精通した人がいて、相談できそう」というイメージを喚起し、問い合わせにつなげるという好循環を期待しています。

一方、書き手の従業員は、通常業務に加えて自社の公式ブロガーとしての評価を得ることができます。
記事をきっかけに社外から仕事や執筆の依頼がくるなど、キャリアの可能性を広げる糸口にもなり得ます。

そんな個人・組織にもたらすメリットへの理解が徐々に進み、今では月に約15人のペースで新規ブロガーが増えています。

社内ラジオで認知拡大、経営陣を巻き込む

社内メンバーを巻き込むメリットが多くある一方、現場従業員に記事を書いてもらうには、上司や経営陣の理解が必須。というのも、従業員は本業に加えて、執筆にもリソースを割かなくてはならないからです。では一体、これほど多くの公式ブロガーや経営陣をどう巻き込んだのでしょうか?

野澤さんは、ブログへの参加には本業以外の負荷がかかるというデメリットがあることを明示しながら、「書き手が記事を通じて評価されれば、所属するチームの評価も上がる」とマネージャー陣に説明し、まずは理解を得ることに注力。業務内容や価値を言語化するための、いわば「出口」があることで暗黙知や個人のノウハウが体系化され、組織内の相互理解にもつながることを示しました。

さらに野澤さんが挙げたのは「書いてくれた人を徹底的にフィーチャーし、『ブログを書くのは当たり前』という雰囲気を醸成する」という基本方針です。

noteアカウントを立ち上げた当初はまず、直接何人かに記事の執筆を依頼しました。大々的な全社告知をする際には、すでに10〜20本ほど記事が投稿されている状態に。告知の段階では、全社メールなど社内の各種メディアをフル活用しました。ユニークなところでは、同社の丹下たんげまさる社長らが自らMCを務める「社内ラジオ」があります。「今週のブロガー」として書き手を紹介してもらうコーナーを設け、経営陣にも自然と技術ブログの執筆者が目に入るように工夫しました。

また公式ブロガーたちが記事を書くインセンティブになるよう、執筆及びnote記事に寄せられた「スキ」の数に応じて、報酬を支給しています。ただしそれは、あくまでも執筆のハードルを下げることが目的。「技術ブログは自発的なアウトプットである」と、当たり前に認知される状態をめざしてきました。

書き手との分業で運営を「仕組み化」

協力してくれる公式ブロガーが徐々に集まり始めたSHIFTのブログ。次の段階では、各公式ブロガーとの進捗管理や、企業としてのクオリティ担保のための仕組みづくりに取りかかりました。

たとえば、当初は野澤さんが公式ブロガーとの原稿確認から入稿、社内アナウンスまで1人で行っていました。それを見かけた周囲の社員たちが手を差し伸べるように。note運用の効率的な「仕組み化」がぐんぐん進んでいきます。

まずは、続々と増える新規ブロガーに説明するための情報を整理して一元化。さらに効率化に寄与したのが書き手との分業体制です。

それまで野澤さんは個別チャットで執筆時の確認や相談に応じ、初稿に反映させていました。その後、エントリー用のアンケートフォームを作成し、そこに書き手が入力する項目を増やすことで、運営サイドとのやりとりを減らしました。

原稿を入稿する作業も、運営サイドがWordファイルで受け取り、手動でnoteのエディタに入力していましたが、こちらも社内から効率化するアイデアが寄せられました。ある社員が入稿作業を自動化するシステムを組んでくれたのです。加えて、下書きを入稿して不備があればブロガーに差し戻す作業を、別のチームが担当する仕組みもできました。結果、作業量はなんと6分の1まで減少しました。

こうした改善は、noteの運用に関するTeamsのチャンネルで提起されたものが多いそうです。

効率化だけでなく、記事の質を担保するシステムも設けました。特に技術系の記事では、SHIFTの企業秘密に関わる「門外不出」の情報が含まれる可能性もありますが、専門性の高い仕様については広報担当が把握しきれていないこともあります。そこで、野澤さんは公開前に記事を2段階でレビューするフローを構築。書き手の直属の上長に、ファクトチェックや情報の秘匿性の有無などを確認してもらうことにしています。

コンテンツの品質を維持するために

技術ブログは、約200人もの書き手が社内から参加しています。そのため、公式ブロガーそれぞれの個性を意識しつつ、カジュアルすぎる表現は直すなど、会社の媒体として品質の維持に努めています。

書き手へのアドバイスは、リスペクトを忘れずあくまで「提案」。相手によって一回ずつのコミュニケーションの量やタイミングも調整します。修正案や重要なポイントを提示して、「この見せ方はどうですか」と選択肢を増やすように提案するのがコツです。

アドバイスのポイントの一つが「タイトル」です。技術ブログと銘打っていることもあり、専門的な知見を求めている読み手の期待にしっかりと応えるため、タイトルと文章の中身の整合性がとれているか気を配っています。文章のストーリー展開やいわゆる「エモさ」よりも、あくまで読者の疑問や欲求を解消できている内容かを重視しています。また、長い記事を最後まで読み進んでもらうには、メインタイトルだけでなく記事中の小見出しを分かりやすく整理することも重要です。

noteの執筆で得た知見は、社内にもしっかり還元します。「ありがちなタイトルの記事を、どのように工夫して読まれるようにしたか」など、他の書き手にとって参考になる情報を社内のチャンネルで共有しています。こうすることで「読まれ続ける=価値ある記事」を量産できる環境をつくっているのです。

書き手自身が評価と学びを得られる、「次につながる」フィードバック

SHIFTでは記事を公開して終わりではなく、「書き手自身がしっかりと評価と学びを得られる」ところまでを目指す方針を掲げています。

実際の取り組みとして、月間レポートを役員や全従業員に向けて発信しています。

レポートは、note proのアナリティクスβのデータをCSVで出力し、PV(ページビュー)などのデータを社内で開発したシステムに自動で取り込み。さらにデータ解析ツールを活用して部署、ブロガー別に分析し、考察まで出しています。社内の技術を活用してRPA化(自動化)を進めたことが奏功し、レポート作成に割くリソースの確保にも繋げることができました。

社内外からの反響「書き手が書き手を呼ぶ」

社内の豊富な人材や技術を大いに活用して運営されているSHIFTの技術ブログ。社内では「ブロガーさんが、ブロガーさんを呼んでくる」(野澤さん)ほどの反響ぶり。
別のプラットフォームで個人ブログを発信していた社員にも、SHIFTの社員としてnoteで発信する意義を感じてもらえるようになってきました。

社外からも手ごたえを感じています。内定者から「マガジン内の記事をすべて読んだ」という声が寄せられたり、営業部主催のセミナーにnoteの読者がいたりしたことも。一般の読者というよりはいわゆるBtoB、ビジネスパーソン向けの記事が多い技術ブログですが、フォロワーは平均して毎日1人ずつと着実に増えています。

既存の公式ブロガーが思わず参加したくなるような、トレンド感のあるテーマや企画にも積極的に取り組んでいます。「アドベントカレンダー」や「フレッシャーズ応援企画のブログリレー」などの企画には、部署も社歴も年齢も超えてたくさんの書き手が参加。記事数や新規ブロガーが増えるだけでなく、一体感と活気が生まれ、運営としてもやりがいを感じているそうです。

まとめ

技術ブログの立ち上げ当初から「『書く』を文化に」を社内に浸透させようと努めた野澤さん。その努力が実り、ブロガーとして参加することを奨励する風土が全社に定着しました。野澤さんは「今では、きちんと想定読者に届くことを意識してnoteで発信することが、公式ブロガー自身やチーム、ひいては会社の資産にもなっている。」と、語ります。

最後に、SHIFT流のnote運営で、参考になるポイントを再度振り返ります。

  • 執筆者を増やすには、まず上司や経営層も含めた社内メンバーの理解を得ることが大切。

  • 記事に対する細やかなフィードバックを行うことで、次の執筆へのモチベーションを持ってくれるという好循環がうまれている。

  • 社内の知見を活かしてnote運営の一部を自動化したことで、多くのコンテンツを安定して公開できる体制を構築できた。

みなさんもぜひ、社内をうまく巻き込むnote運営の参考にしてみてください。

interviewed by 漆畑美佳 

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